創業明治2年・布団を打ち直しして150年以上の歴史を持つ【ふとんの長谷川6代目】長谷川 英則です。「ふとんの達人」としてテレビ東京に何度も出演させていただいております。
あなたは羽毛布団を購入する時にこんな悩みがありませんか?
羽毛布団の価格ってピンからキリですよね。上の画像見ると10万円以上差があります。この違いって何なのでしょう?その違いについてダウンプロフェッサーである私が解説したいと思います。
安い羽毛布団の理由
羽毛布団といっても非常に高額なもので200万円超えたりするものもあれば、2万円を切るものもあるのが現状です。この差っていったい何なのでしょう?
安い羽毛布団には訳がある
基本的に私は羽毛布団は金額に比例すると思っております。ですので安い羽毛布団はそれなりの理由があるはずです。
これから語ることは憶測です。
羽毛布団を安くする方法として次のことが考えられます。
羽毛布団を安くする7つの法則
①羽毛の品質を落とす
②生地の品質を落とす
③羽毛の洗浄を簡素化する
④仕立てを簡素化する
⑤流通コストを抑える
⓺羽毛の量を減らす
⑦偽装(産地など)
よく通販などで言われているのが⑤の流通コストを抑えるということです。でもはたして流通コストを抑えただけで金額は半額になるのでしょうか?たぶんそれは不可能だと思います。
羽毛の原価の割合は高いです。流通コストを抑えただけで一般的な羽毛布団の価格の半額になることはありえないと思います。
羽毛の品質を落として安くする
羽毛には様々な種類があります。基本的にはダックとグースに分かれます。また産地によって大きさなどに違いがあります。
寒冷地に生息する水鳥の羽毛は大きく品質が良いとされてます。ですがこれらの羽毛はかなり高価です。
したがって安い羽毛布団は中国や台湾の羽毛を使ってると考えられます。
なぜかといえば、日本の羽毛の輸入量のおよそ8割は中国と台湾なのです。ですから安い羽毛布団はポーランドやハンガリー産などと謳っていても中身は中国産であるのではないかと思われます。
絶対とは言いませんが、ごく普通に経済活動を行っているならば、ポーランドやハンガリー産の羽毛布団が3万円以下などとはあまり考えられません(売り尽くしセールなどではあるかもしれません)。
羽毛布団の生地で安くする
羽毛布団の生地は基本的にダウンプルーフ加工で高密度な生地になっております。なぜ高密度にする必要があるかというと、羽毛は針の穴1本でも開いただけでそこから羽毛が出てしまうのです。
高密度の生地にすることによってのデメリットは「蒸れやすくなる」ということです。寝具において「蒸れやすい」は快眠を妨げる重大要素です。とは言っても空気が抜けるほどの密度なので、水分を吸う綿100%の生地ならば問題ないと思います。
ところが、生地がポリエステルが混ざったものだと、水分を吸わないのでより蒸れやすくなるでしょう。羽毛布団を買う際は生地にポリエステルが混ざっているかどうかを見るのも大事だと思います。
洗浄工程を省略して安くする
羽毛は採取された後
①除塵(羽毛からゴミ、糞、不純物を除去する作業)
②洗浄(専用の洗浄液に浸して洗浄し高速脱水)
③乾燥(約100℃の乾燥機で乾燥しふっくらさせる。高温で乾燥させるので雑菌などは消滅する)
④選別(使える羽毛と使えない羽毛を風力を使って選別する作業)
という作業工程があります。ただでさえ扱いの難しい羽毛を布団の原料とするための作業だけでこれだけの段階を踏んでいるので、金額は高額になるのは必然です。
逆に安い羽毛布団はこの段階の作業をどこかで怠っているとしか思えません。実際とある量販店において、羽毛布団のクレームのナンバー1は「羽毛が臭い」ということなのです。確かに上記の作業をきちんとやったとしても若干の動物臭がするのは否めません。
ですがそれは新品の羽毛布団の使い始めだけであって羽毛布団の空気を抜けばなくなります。ですがずっと臭いが残っている羽毛布団は間違いなく上記の作業過程のどこかを省いていると思って間違いないと思います。だから安くできると思うのです。
羽毛布団の仕立てで安くする
ほとんどの羽毛布団はキルティング加工されております。
上の画像のように四角のマスがあります。この生地を縫いあげるのも大変です。羽毛布団はマスごとに掃除機のような長いノズルを各マスに入れて吹き込むのです。
ここでこの生地の縫う段階で簡易化されていたら、羽毛布団のマスの中で羽毛が移動してしまいます。つまりへたっているマスとふっくらしているマスができたりとアンバランスになってしまうのです。
だから生地の仕立てや素材も選ぶにおいて十分な要素になるのです。
羽毛の価格が高騰している原因
羽毛はもともと食用として飼育されていたアヒルやガチョウの羽毛を使用して作ったのがはじめです。つまり2次製品なのです。
特に中国においての食文化が変わってきてアヒルを食べなくなってきたのです。ということは
アヒルの飼育量が減る↓
アヒルの羽毛の採取量が減る↓
羽毛の原料が減る
ということなのです。でも日本において羽毛布団の産地はハンガリー、フランス、ポーランド産など北欧の産地の名前を語り売られてりるものが多いのが現実です。ですが、日本において現状、羽毛の原料の輸入率は北欧は約15%ほどなのです。
したがってハンガリー、ポーランドなどと書いてあっても実は中国産であったなんてことはあるでしょう。
基本的に寝具は価格に比例します。あまり安い羽毛布団の購入は避けた方がよいでしょう。
ご参考になれば幸いです。羽毛布団についてのご相談は無料で承りますのでご遠慮なくご相談くださいませ。