こんにちは。ダウンプロフェッサー・快眠アドバイザー・ピローアドバイザーの長谷川です。
羽毛布団の打ち直し(リフォーム)をしようと思ったら気になるのが金額ですよね。ネットで調べると様々な価格帯があります。それは洗浄方法や新しくする記事、補充する羽毛によって金額が変わるからです。
これから具体的に説明していきます。
羽毛布団の打ち直し(リフォーム)の洗浄方法によって価格に差が出る
お手頃価格のスチーム洗浄
羽毛布団の打ち直し(以下リフォームといいます)は洗浄方法によって価格が違います。スチーム洗浄での金額はおおよそ最安値で24,000円前後です。スチーム洗浄とは簡単に言うと羽毛を蒸気で洗浄させる手段です。逆にこの金額を大幅に下回る(例えば15,000円代)金額の場合、きちんとした工程で洗浄しているか疑問です。
上の画像がスチーム洗浄機です。この中に羽毛を入れて蒸気で洗浄する方法です。比較的手順が簡単な工程ですので、コストは安く済みます。羽毛自身を直接スチーム洗浄するので、羽毛は開きやすくなります。
徹底的に洗いたい方におすすめ完全洗浄(プレミアム洗浄)
羽毛布団は高価なものを購入し長く使用したので、徹底的に洗いたいという方におすすめなのが完全洗浄(プレミアム洗浄)です。この洗浄方法の場合、金額は少なくとも30,000円はかかります。この洗浄方法はドラム式の洗濯機のような機械に羽毛を詰め込み時間をかけて40℃のお湯と洗剤で洗浄します。したがって先ほど説明したスチーム洗浄に比べ羽毛のふくらみ度合が違ってきます。
上の画像が羽毛を洗浄した後の比較画像です。一番左が洗浄前、つまり汚れた状態です。そして真ん中がスチーム洗浄を行った後の状態。一番右が完全洗浄(プレミアム)を行った後の状態。どれも同じグラム数です。やはり完全洗浄の方のふくらみが圧倒的です。
完全洗浄の方法
羽毛を洗浄するためには羽毛を取り出した後はまず、除塵(じょじん)という作業を行います(左画像)。除塵とは羽毛が長年の使用で損傷し切れたもの(ファイバーといいます)を除去する作業です。そこから直接ドラム式の羽毛専用の洗濯機にノズルを通して送られてきます。似たようなドラム式の羽毛洗濯機を使っている業者もあるようですが、このノズルがないものはおそらく、羽毛を袋に入れて洗浄するタイプの洗濯機ですので羽毛自身を直接洗えずふくらみはスチーム洗浄にすら劣ると思います。
このようにノズルで送られてきた羽毛をお湯と洗剤で洗うのでよりふっくらきれいになるのです。
その後除塵作業で減った羽毛分を新しい羽毛で補充します。この補充する羽毛の種類によっても金額は変わります(価格は業者によりさまざま)。また洗浄した羽毛と補充した羽毛を混ぜ合わせ、新しい側生地に吹き込むのです。さらにこの側生地の質によっても金額は変わります。
補充する羽毛の種類によって金額は変わる
補充する羽毛の種類はそれぞれの業者によって違います。おおまかに分けるとダック(アヒル)とグース(ガチョウ)にわかれます。基本的にダックよりグースの方がダウンが大きいものですが、ダックの中でも産地や種類、グースにも産地・種類が様々あるものです。
ダウンの大きさ(以下ダウンボール)が小さいものの方が安価で、ダウンボールがより大きいものが高額のが一般的です。したがってグースを補充する方がより高額なパターンが多いものです。
上の画像は当店の販売サイト、「ふとんの仕立て屋さん」で行っている羽毛布団リフォームサービスの中で補充されている羽毛です。
一番左のプレミアムマザーグースというものが一番大きいのは一目瞭然です。当然左から右に行くにつれて価格が下がってきます。同店では補充する羽毛が選べる仕組みとなっており、予算に合わせてリフォームができるシステムとなっております。
側生地によっても金額が変わる
羽毛布団のリフォームは側生地も全部交換します。したがってその側生地の質によっても金額が変わります。「ふとんの仕立て屋さん」において、側生地の質が5つのランクにわけて選ぶことができます。低いランクから、
- 長繊維綿50/40ツイル
- 超長綿60サテン
- 高級超長綿80サテン
- 最高級超長綿100単サテン
- インド超長綿120単サテン
とあります。何が何だかわからないっていう方もいらっしゃるかと思いますので、簡単に説明します。
まずそれぞれの側生地の種類に60サテンなどという数字がついていますね。この数字の意味は糸の番手です。番手というのは簡単にいうと糸の太さです。数字が大きくなるにつれて糸が細くなっていきます。
細い=弱いという意味ではありません。細いほど、1枚の側生地をつくりあげるのに、より多くの糸を必要とし、それだけ高密度でしなやかな生地に仕上がるのです。したがって、1の長繊維綿と5のインド超長綿を比べた場合、インド超長綿の方がはるかにやわらかく感じるのです。
次にツイルとサテンですが、これは糸の織り方の違いです。詳細は省きますがツイルよりもサテンの方が高密度で強度が高いと捉えていただいて結構です。
長繊維綿と超長綿の違いは繊維長の長さによって呼び方が変わるのですが、ここでは超長綿の方がより長く、細くて強い生地になると思ってください。
ポリエステルの生地は綿より良いのか?
ポリエステルは綿に比べて糸が強いということと、加工しやすいというメリットがあります。ですがその反面、水分を吸わないという寝具としては決定的なデメリットがあるので、寝具の生地としては群れやすく、あまり向いておりません。その代わり加工して通気性をよくしたりする工夫をしているものも最近では出ております。
ですが、羽毛布団については強度が高いのはよいのですが、やはり群れやすいので綿100%のものの方が優れていると言ってもいいでしょう。
側生地の仕様によって金額が変わる
羽毛布団の側生地のほとんどは上の画像のようにキルティング加工されております。キルティング加工とは生地の表面にミシンで縫って各個別の部屋のようになっております。
これが上下同じマス数の仕様をヨーロッパキルトと呼んでおります。またこのマス数も12マスであったり、20マスであったり30マスであったりそれぞれです。一般的には12マスや20マスが多いかと思います。
このヨーロッパキルトをさらに高機能にしたものがツインキルトです。
このツインキルトの方がより保温力が高いので、価格も高めになります。
まとめ
羽毛布団の打ち直し・リフォームの価格の相場は最安値で20,000円程度。15,000円を下回るものはきちんと洗浄しているか疑ってみたほうが良い。
また以下の項目(オプション)によって金額が変わる。
- 洗浄方法
- 補充する羽毛の種類・質
- 側生地の種類・質
- 側生地の仕様
こうしてみると、羽毛布団の打ち直し・リフォームは非常に細かい作業であり、さまざまな選択肢があることがおわかりになったと思います。だからこそ、大事な羽毛布団を直す際はダウンプロフェッサーなどの専門家の意見を聞いてから、決断した方がよいでしょう。